© 2009 atelier situationniste 

「耐震補強と環境調整を実現した狭小住宅」竣工しました

最終更新: 2018年8月18日

除却できないストックを長寿命化するために

 本計画の対象住宅は、旧耐震基準により建設された住宅であり、現在国が既存ストックの質向上を支援している新耐震基準により建設された住宅ではありません。したがって、本計画の対象住宅のような旧耐震基準により建設された住宅は、現在の住宅施策における長期優良住宅化リフォーム推進事業による補助制度や住宅金融支援機構からの融資対象外となってしまいます。

 その場合、除却が選択肢として挙がりますが、4m未満の道路に接道する敷地にある住宅の場合、除却、新築すると、セットバックにより敷地面積が減少します。このような既存ストックの質を向上させる方法として、耐震補強、さらには、樹脂窓や複層ガラスの導入による断熱性能の向上やパッシブシステムやLED照明などの導入による一次エネルギー消費量の減少による省エネルギー化により長寿命化が有効です。

本計画は、旧耐震基準により建設され、かつ、除却が不可能な住宅における長寿命化を目的としました。


神戸市住宅耐震化促進事業による耐震改修

 改修工事前の耐震診断の結果は、ブロック造の基礎、土台と柱の蟻害、開口部が多いことによる壁量不足、という主な理由から、本来1.0であるべき上部構造評点は0.19でした。

そこで、1.0に向上させるために、既存の外壁の内部に柱を新設し、既存柱と新設柱をアンカーボルトで一体化する入れ子構造による耐震補強をおこないました。その結果、上部構造評点は、2.06へと向上しました。


狭小住宅における環境調整

 わが国の居住空間では、夏期においては、深い軒の出により日射を遮断する、縁側空間の窓や建具を開放する、といった方法で夏の暑さをしのぎ、冬期においては、障子建具を閉め切り、室内の暖かさを保持するなど、季節毎に建具を操作し、四季に対応する居住文化を育んできました。

 このように、これまでのわが国の居住空間における環境調整は、主として縁側空間の建具の操作を通じて実践されてきました。つまり、内部空間と外部空間の間に中間領域を設け、内部空間・中間領域・外部空間の間の境界の建具を操作するというものでした。

 しかし、このような空間構成が実現するためには、敷地内に庭空間が必要となります。そこで、本計画の対象住宅のような、中間領域や外部空間を獲得できない狭小住宅において、環境調整を実現する手法として、環境調整コア空間を開発し、導入しました。

 改修計画では、2層ある住宅の内部空間における、水平・垂直方向の中心となる位置に、3つの居室(1階の居室1と2階にある居室2と居室3)と階段室を連結するコア空間の境界部分に無双窓等の建具を設置して、居室間での通気や空調することのできる空間構成を提案しました。コア空間は、吹抜部分として、居室1 と一体の空間となっています。

 これにより、自然換気を用いつつ、最低限度の機械換気により生活することが可能となります。

​news